青汁のセールスポイントの定番はビタミン、ミネラル、食物繊維です。
ただし成分表を眺めてみるとクロロフィルという成分がひと際目を引きます。
この物質は青汁で最もよく利用される大麦若葉に含まれているので、おのずとそれら青汁にも含まれることになります。
一般的に栄養素というと以下のようなものでクロロフィルはそこまで注目されることがありませんが、そこには素晴らしい働きがあります。

- 糖質
- 脂質
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
特にあなたが貧血に悩まされているのであれば、クロロフィルは要チェックです。
そこで今回は青汁に含まれているもの、その実態がよく知られていないこの成分の概要や効果・効能を分かりやすく説明していきます。
Contents
クロロフィルは光エネルギーを取り込む物質
クロロフィルは植物や藻の葉緑体の中に存在する物質で、「葉緑素」とも呼ばれます。
植物におけるこの成分の役割は大きく分けて、「光の吸収」と「活性酸素の無害化」のふたつです。
植物は光エネルギーを利用して、葉緑体の中で「地中の水」と「空気中の二酸化炭素」からデンプンなどの養分や酸素を生成します。
その際に光エネルギーを取り込む役割を担っているのが、光合成色素であるクロロフィルです。
光合成色素には以下のようなものが存在します。
- クロロフィル:植物や藻類に含まれる
- フィコビリン(大部分):藻類に含まれる
- カロテノイド(一部):植物に含まれる
クロロフィルが光を吸収する際のそれぞれの吸収率には、「赤色光:約90%」、「青色光:約90%」、「緑色光:約60%」といくらかの差異が存在します。
緑色光は他の光と比較して吸収率が悪く外に出てしまう割合が高いですが、これが植物が緑色をしている要因です。
実際にホウレン草、小松菜、ピーマンなど緑色が強い野菜は多くのクロロフィルを保有します。
また植物の葉にはβーカロテンが含まれますが、この成分の光吸収能力はそこまで高くなく、逆に光が強すぎる場合には活性酸素が生じてしまいます。
これを無害化する働きがクロロフィルにはあります。
クロロフィルの3つの健康効果
気になるのはクロロフィルが持つ健康へのメリットですね。
以下のような効果・効能が存在します。
- 血液生成(鉄分不足解消)
- 血中コレステロール値の低下
- デトックス効果
ひとつずつ説明していきます。
血液生成(鉄分不足解消):クロロフィルの分子構造は鉄分とそっくり
クロロフィルは鉄分不足の人にはぜひとも注目してもらいたい成分です。
話が混乱しないよう、まず鉄分不足の概要をごく簡単に説明します。

血液中に存在する赤血球の中には、肺から得た酸素を全身の細胞に運び供給するヘモグロビンというタンパク質の一種が存在します。
私たちが一般的に「貧血」と言った場合、医学的には「赤血球に含まれるヘモグロビンの量が減少した状態」です。
酸素の運搬役であるこの物質が不足してしまうと全身への酸素供給が上手く機能しなくなり、結果として体の各細胞が酸欠状態に陥ってしまうのです。
- 体内細胞の酸欠状態のこと
立ちくらみが典型的ですが、この他に集中力の欠如や倦怠感など様々な症状が出てしまいます。
酸素が欠如すると体内細胞はエネルギーを生み出すことができなくなるので、様々な健康被害が発生するのは当たり前の話です。
よって鉄分不足からくるこれら被害の解消方法は血液中のヘモグロビン数を増加させるということになります。
結論が出たところで、ここからがクロロフィルのお話です。
出典:Miraculous Twins and Why You Should Eat Your Greens… Really! – The Wilderness Post
上の画像はクロロフィル(左)とヘモグロビン(右)を比較したものです。
どうでしょうか?両者の分子構造は極めてよく似ているのが分かると思います。
違いは核の部分がマグネシウム(クロロフィル)か鉄(ヘモグロビン)かというだけです。
クロロフィルはあなたの腸内で核のマグネシウムが鉄に入れ替わるだけで、見事にヘモグロビンへと変化するのです。
このようなことからクロロフィルは「緑の血液」などと呼ばれることもあり、貧血対策においては鉄分とともに重要な栄養素として挙げられます。
これは貧血解消が語られるときに、多くのケースでスルーされてしまうことです。覚えておきましょう。
またクロロフィルに含まれる有機ゲルマニウムは血流を良くする作用があり、結果として毛細血管にも酸素が行き渡ることも貧血予防に働きます。
血中コレステロール値の低下:クロロフィルは血中コレステロールを回収する
血中コレステロール濃度が高くなると心疾患などの原因になる高血圧を引き起こすので注意が必要です。
クロロフィルは血中コレステロール値を低下させる働きがあり、高血圧解消を期待できます。
簡単にコレステロールが高血圧を招くメカニズムを説明します。
高血圧の問題でコレステロールが語られるときそれは悪玉コレステロール(LDL)のことです。
「ドロドロ血液」という言葉が健康を取り上げる番組で取り上げられることがありますが、これはまさしく血液中のLDL濃度が高まった状態です。

ドロドロ血液ではLDLが停滞しやすくなり、行き場のなくなったそれら物質は血管壁に入り込んで行きます。
血管壁は活性酸素が発生しやすい場所であり、そこで酸化されることにより「酸化型のLDL」へと変化します。

この酸化したLDLは体内では異物として扱われるので、免疫細胞であるマクロファージにより捕食(食べられ)され処理されていきます。
ただしそのうち対応しきれなくなり、マクロファージは泡沫細胞という泡状の細胞に変質します。
これが血管の内側に溜まることにより血液の通り道が狭くなり、結果としてより強い圧力かかり高血圧になってしまうのです。
高血圧は血管から柔軟性を奪いますが、これがいわゆる動脈硬化です。
なにも改善策を取らないと、多くの人たちを死に追いやっている心筋梗塞や脳卒中などの原因となり非常に危険です。

ここでクロロフィルの出番です。
クロロフィルには血液中のコレステロールを回収し排出する働きがあり、これにより血管壁に付着するのを防ぐことが可能なのです。
簡単に言うのであればドロドロ血液がサラサラ血液に変化するということで、循環器系の病気の予防に働きます。
デトックス効果:クロロフィルは狭い隙間に詰まった有害物質も回収できる
デトックスとは簡単に言ってしまうと「体内の毒素や老廃物を取り除く処理」のことです。
それらにはダイオキシン、残留農薬、重金属などがあります。
腸内に溜まったそれら物質を取り除くための重要な成分としては食物繊維がよく挙げられますが、クロロフィルにも同様の働きがあります。
さらに特筆すべきはそのサイズです。

クロロフィルは食物繊維の5,000分の1といわれるくらい分子が非常に小さいので、普通は手が届かないような場所にまで入り込み有害物質をかき集めることができるのです。
出典:あいーと
これは小腸内を拡大したイメージですが、腸壁は絨毛と呼ばれるヒダ状の構造でできています。
老廃物や有害物質はこの絨毛の間にも溜まりますが、食物繊維ではサイズ上それら隙間には入り込めないという問題点があります。
その点クロロフィルはその小ささを活かし、そこに存在する老廃物なども回収することができるのです。
これがクロロフィルの優れたデトックス効果です。
クロロフィルの副作用:光過敏症

クロロフィルに関しては光過敏症という副作用が報告されています。
これは日光に当たるだけで、皮膚に炎症などが起きてしまう症状ですが、原因はクロレラやアワビなどに含まれるクロロフィルの分解産物であるフェオホルバイドという物質です。
東北地方には「アワビの内臓を食べたネコは耳が落ちる」という伝承がありますが、これもフェオホルバイドが日光を浴びることによりネコの耳に炎症を引き起こすことが要因です。
これらは「クロロフィル性日光過敏症」や「クロレラ皮膚炎」とも呼ばれますが、実際の報告例では加熱不足のアワビやクロレラを大量に摂取したことが原因だとされています。
そう簡単に発症する中毒症状ではありませんが、クロレラなどを原料とするサプリメントは用量をしっかりと守ることをオススメします。
クロロフィルを含む野菜を茹でるときの注意点

クロロフィルは一般的に緑色が強いホウレン草、小松菜、ピーマン、ニラなどに多く含まれていますが、これら野菜は茹で過ぎないようにすることが大切です。
長時間茹でてしまうとクロロフィルの核の部分に存在するマグネシウムが脱落し、そこに水素イオンが結合することによりフェオフィチンという物質に変質してしまいます。
これがホウレン草などの色があせてしまう原因です。
この状態になるとクロロフィル本来の働きができなくなってしまうので注意が必要です。
まとめ
クロロフィルには複数の健康効果あり、特に貧血解消を目指している人にはかなり重要です。
青汁は青物野菜を原料としているので総じてクロロフィルが含まれますが、その他では藻の一種であるクロレラのサプリメントなどにも多く含まれています。
鉄分不足の悩みを抱えている人は一度試してみるといいでしょう。