口の中に入れるというイメージは浮かばないかもしれませんが、実は人の体にとってとても魅力的な効果・効能があります。
今回は青汁の素材として使用されることもある葛の花の抽出成分が、健康に対してどのようなメリットを有しているのかを簡単にご紹介します。
葛の花イソフラボンは単純に摂取するだけで体重が減少するというものではありません。ダイエットには規則正しい食生活が欠かせません。葛の花はあくまでもそれをサポートするものです。
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葛はひと夏で10mほど成長する繁殖力がとても強い植物

葛はつるを伸ばすことで非常に広い範囲に繁殖する植物です。
その名前の由来は、現在の奈良県である大和国吉野川上流の国栖(くず)がもともとの原産地であるところから来ています。
北は北海道から南は九州までと日本各地に分布しているので、おおよそ誰もが目にしたことがあるでしょう。
葛のつるはひと夏で10mほど成長してしまうほど非常に繁殖力が強く拡散しやすいので、花言葉は「芯の強さ」や「活力」などです。
1876年にフィラデルフィアで開催されたフィラデルフィア万国博覧会において日本から運ばれたことにより、北アメリカにも根を下ろしました。
一時は緑化目的などで持てはやされることもありましたが、他の植物を覆うほどの生命力の強さにアメリカの人たちもさすがに脅威を感じたのか、現在は侵略的外来種に指定されています。
アメリカにおいての葛の侵食スピードはすさまじく除草剤や刈り取りスピードが追い付いていない状態で、これらの処置に対するコストが年ごとに約6億円(1ドル100円計算)という規模で膨らんでいっている状態です。
葛に関する話は以上のようにネガティブなものを含みますが、その花にはイソフラボンとサポニンという非常に有益な成分が含まれているので、そちらに焦点を当てることにします。
葛の花イソフラボンと大豆イソフラボンの違い
葛の花イソフラボンの話を始める前に混乱を回避するために、大豆イソフラボンとの違いを簡単に説明します。
葛の花イソフラボンはテクトリゲニン類と呼ばれるもので、大豆イソフラボンはダイゼインやゲニステインなどです。両者ともにイソフラボンですが、種類が違う以上体内での働きも異なります。

大豆イソフラボンは大豆の胚芽(はいが)に多く含まれている成分です。胚芽とは大豆のくぼんでいる部分ですね。

大豆イソフラボンは植物由来のエストロゲンであり、そのため女性ホルモンであるエストロゲンと化学構造がそっくりで、そのため体内での働きも非常に似ています。
大きく分けてエストロゲン様作用と抗酸化作用がありますが、もう少し馴染みのある言い方をすると「バストアップ」や「肌のツヤ向上」などの働きです。
エストロゲンは加齢とともに減少していき特に閉経後にはほとんど分泌されなくなりますが、このように体内量が不足した際に発生するのがいわゆる更年期障害と呼ばれるものです。
これは量の減ったエストロゲンの分泌を促すため下垂体や視床下部などの自律神経が働きすぎることにより、それら神経系に乱れが生じ頭痛、動機、肩こりなどが発生する現象です。
大豆イソフラボンはエストロゲンと似た機能を持つので、そのような症状を抑えることができます。
ただし逆に摂りすぎると体内のホルモンバランスが崩れる弊害も指摘されているので、サプリメント等で摂る際は用量を守る必要があります。
大豆イソフラボンとは違い、葛の花イソフラボンは中性脂肪の燃焼をサポートする働きがあります。
よって「ウェストサイズを減らす」という目的で使用されることが非常に多い成分です。
こちらはエストロゲン活性の働きが大豆イソフラボンと比較して低いので、多めに摂取してもホルモン異常などの症状は発症しにくいのが特徴です。
葛の花の2つの健康効果
ではここから葛の花が保有するイソフラボンとサポニンというふたつの成分の働きを見ていきます。
ひとつずつ説明していきます。
ダイエット効果:葛の花イソフラボンは脂肪の燃焼を促す

葛の花由来のイソフラボンには糖分や脂肪の合成を抑える作用があることが報告されています。
当たり前の話ですが、体重の増減は摂取カロリーと消費カロリーのふたつのバランスで決定します。
単純な話、摂取カロリーが消費カロリーを上回った場合それは将来のエネルギーとして保存されますが、これこそが体脂肪です。
よってダイエットを決心した場合、「食べる量を減らすことにより摂取カロリーを減少させる」もしくは「運動をすることにより消費カロリーを増加させる」というふたつが選択肢として挙がります。
日本人女性の多くが「食べる量を減らす」という項目を選びますが、そもそも摂取した糖や脂肪が合成されエネルギーとして備蓄されなければ体重は増加しません。
当たり前の話ですね。
イソフラボンが力を発揮するのはこの場面です。
この成分には肝臓内で糖などが中性脂肪に合成されるのを抑制する働きがあるので、結果として食べた分を脂肪として備蓄しないよう作用するのです。
またイソフラボンには脂肪を分解し燃焼を促す効果があることも確認されています。
出典:FUJIFILMサプリ
例を挙げると、BMIが25-30と肥満に指定されている人たち97名を対象に葛の花イソフラボンを摂取するグループとしないグループに分けて臨床試験を実施したところ、摂取した人たちはしなかった人たちと比較して内臓脂肪と皮下脂肪が有意に減少したことが確認されています。
「葛の花由来のイソフラボンはメタボに効果あり」と言われるのは、このような理由からです。
実際に葛の花イソフラボンはダイエットサプリメントの原料として使用されるかなり機会が増えています。あなたも見たことがあるかもしれません。
また葛の花に含まれるサポニンには腸で吸収したブドウ糖が脂肪と結合しないように抑制することで体脂肪の蓄積を阻害するので、こちらにもダイエット効果が期待できます。
コレステロール値の低下:サポニンは血中脂質を洗い流す
葛の花に含まれているファイトケミカルであるサポニンには血中コレステロール値を低下する働きがあります。
コレステロール値が問題になる場合それは悪玉コレステロール(LDL)を指しますが、放置しておくと突然死を招く恐れもある非常に恐ろしい状態です。
これが命の危機につながる仕組みをごく簡単に説明すると以下のようになります。

あなたも「ドロドロ血液」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これはまさしく血中のLDL濃度が高くなった状態です。
この状況ではLDLがさらに停滞しやすくなり、行き場のなくなったそれら物質は血管壁に入り込んで行きます。
血管壁は活性酸素が発生しやすい場所なのでそこで酸化され、「酸化型のLDL」へと変質します。

酸化LDLは体内では異物として扱われるので、免疫細胞であるマクロファージにより捕食という方法で処理されていきます。
ただしそのうち対応しきれなくなり、マクロファージは泡沫細胞という泡状の細胞に変化します。
これが血管の内側に溜まることによって血液の通り道が狭くなり、結果としてより強い圧力かかり高血圧となるのです。
これを放置しておくと心疾患や脳卒中など、日本人の死因トップ3に挙げられるような症状を発症してしまいます。
最悪の場合死んでしまうのです。
ここでサポニンの出番です。
サポニンは水と油の両方に馴染む性質があり、血液中に存在するコレステロールや中性脂肪などの脂質を溶かし洗い流す働きがあります。
結果としてコレステロールが血液中に停滞する可能性が低下します。

簡単に言ってしまうと、ドロドロ血をサラサラにすることで血管壁にコレステロールが付着しにくい環境を作り上げ、高血圧や動脈硬化を未然に防ぐことができるのです。
またそれに伴い血流が良くなるので、冷え性の改善効果も望めます。
血中コレステロール値やそれに伴う高血圧で悩みを抱えている人たちにとって、サポニンは非常に頼もしい成分なのです。
葛の花イソフラボンは機能性表示食品に認定されている

葛の花由来のイソフラボンは機能性表示食品に認定されています。
これは様々な研究論文により科学的根拠が示されており、なおかつ機能性や安全性が消費者庁に届けられている食品のことです。
似たようなものに特定保健用食品(トクホ)が存在しますが、簡単に示すと以下のような違いが存在します。
- 国の審査:あり
- 情報公開義務:なし
- 国の審査:なし
- 情報公開義務:あり
トクホは国が審査しているので信頼性が高いと言えますがその点許可のハードルが高く、事業者側がどれだけ証拠を積み上げても認定を受けるまでに非常に長い期間かかってしまうというデメリットが存在します。
機能性表示食品はその点簡易な手続きのみで、スムーズに認定がなされるというメリットがあります。
ただしその信頼性を担保するために、関係する情報は公開する義務があります。
葛の花イソフラボンも含め、機能性表示食品は数多くの臨床試験などでその効果は認められているので、その効果は信用するに値します。
まとめ
葛の花がサプリメントの原料として使用される場合、多くのケースではウェストの引き締めがキャッチフレーズになります。
定期的に運動をしていない限り人は年齢を重ねるごとに筋肉が少しずつ落ちていき、結果として消費カロリーが低下します。
これを一般的には「代謝機能の低下」と言いますが、これが現代人の肥満の大きな原因のひとつなのです。

↑あなたはこのようなことを思っていませんか?
葛の花イソフラボンは青汁に配合されることもありますが、お腹まわりのたるみ落としに苦戦している人にはとてもオススメなのです。
ダイエットには運動を取り入れるのがベストな方法ですが、時間的な余裕がない人はまず脂肪の燃焼を促す葛の花成分を試してみるのも手です。
継続していれば必ず良い効果が得られるでしょう。