桑の葉という植物は青汁の原料としても使用されます。ただし大麦若葉やケールなどと比較すると知名度はイマイチです。
この植物はサラダなどにして食べるようなものではないので、「健康効果」と言われてもあまりピンとこないかもしれません。
実は桑の葉は生活習慣病に悩まされている現代人の私たちが求めている様々な効果・効能を保有しています。
そこで今回は桑の葉がよって得ることのできる健康へのメリットを簡単にご紹介します。
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桑の葉は昔から薬として利用されていた

桑の葉はカイコのエサとなる植物として知られています。
映画「あゝ野麦峠」に代表されるように、養蚕業が盛んだった昔は日本全国で盛んに栽培され、桑畑が地図記号にもなるほどでしたが、その業界が衰退するとともに桑の葉に対する注目も薄れていきました。
桑の葉の健康効果は古代から理解されていたようで、実際に中国のほうでは漢方薬の材料として扱われていました。
また日本でも鎌倉時代に桑の葉を長寿の薬として扱っていたという記録が残っています。
医学が発達してない過去においても、経験上この植物に良い効能があることは皆気づいてたんですね。
桑の葉の健康効果が注目されたのは決して最近の話ではないのです。
桑の葉にはカルシウム、カリウム、食物繊維が豊富に含まれている
桑の葉に豊富に含まれている栄養分には以下のようなものがあります。
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
- DNJ
- GABA
- Q3MG
特にDNJ、GABA、Q3MGの3つが特徴的です。
桑の葉は七訂食品成分表に記載がないので、神奈川県衛生研究所が発表しているデータを元にその栄養成分を見てみます。
乾燥粉末100gで算出した栄養素が以下です。
ビタミン | ミネラル・その他 | ||
ビタミンA(レチノール) | 670 IU | カルシウム | 2,699 mg |
カロテン | 7,440 μg | リン | 238 mg |
ビタミンA効力 | 4,130 IU | 鉄 | 44.1 mg |
ビタミンB1 | 0.59 mg | ナトリウム | 39.9 mg |
ビタミンB2 | 1.35 mg | カリウム | 3,101 mg |
ナイアシン | 4.0 mg | 不溶性食物繊維 | 45.0 g |
ビタミンC | 31.6 mg | 可溶性(水溶性)食物繊維 | 7.9 g |
出典:栄養成分評価に関する研究
桑の葉には特にカルシウム、カリウム、食物繊維の含有量が高いことが分かります。
そこでそれら栄養素と上で挙げたDNJ、GABA、Q3MGに焦点を当て、その健康効果を探っていきたいと思います。
以上の栄養成分表は桑の葉粉末のものです。粉末は水を含んでいない分、グラム単位における栄養の比率が非常に高くなります。よって多量の水分を含む野菜などと単純比較ができないという難点があります。
桑の葉の5つの健康効果
古代より漢方の原料としても使用されてきた桑の葉ですが、大きく分けて以下の5つの健康効果があります。
- 血糖値を下げる
- 高血圧を抑制する
- むくみを解消する
- 骨や歯を強くする・イライラを解消する
- 腸内環境を整える
ひとつずつ説明していきます。
血糖値を下げる:桑の葉成分DNJはブドウ糖の吸収を抑制する

血糖値とはその名の通り血液中の糖濃度のことです。もう少し厳密に言うと、血液中のブドウ糖の濃度です。
つまり「血糖値を下げる」とは「血液中のブドウ糖の濃度を下げる」ということです。
ブドウ糖を「グルコース」と呼ぶときがありますが、単純にブドウ糖を英語で言うとglucose(グルコース)というだけです。ちなみに果物のブドウにたくさん含まれているのでブドウ糖といいます。
その血糖値の低下には、桑の葉成分であるDNJ(デオキシノジリマイシン)が関わっています。
その仕組みを知るには摂取した炭水化物(糖質)が、どのようにしてブドウ糖となり血液中に流れていくのかを知る必要があるので、ここでごく簡単に説明します。
あなたが食事などで摂った糖質(多糖類)は体内でアミラーゼなどの消化酵素により二糖類に分解され小腸へと送られます。
二糖類は小腸内でα-グルコシダーゼという酵素により単糖類であるブドウ糖に分解され、小腸から吸収されていきます。
吸収されたブドウ糖は肝臓を経て血液中に送り込まれていくのです。

つまりあなたが口にした糖質は多糖類 ⇒ 二糖類 ⇒ 単糖類(ブドウ糖)という過程を経ることで、はじめて血液中に流れ込むのです。
ここで重要なのは、糖質はα-グルコシダーゼによりブドウ糖に変化させられたものだけが小腸で吸収されるということです。
つまりα-グルコシダーゼの働きを妨害することができれば二糖類はブドウ糖に分解されることはなく吸収もされないので、結果として血糖値の上昇にもつながらないのです。
ここでDNJの出番です。
出典:桑葉に血糖値抑制効果が!
DNJは化学構造がブドウ糖と極めてよく似ていてるので、α-グルコシダーゼがDNJをブドウ糖と間違えて結合してしまい、結果として二糖類分解の働きが阻害され本物のブドウ糖の生成が抑制されるのです。
これにより血糖値の上昇が緩やかになり、体脂肪の増加も抑制できるという仕組みです。
実際に桑の葉エキスを摂取したところ、血糖値が安定したという報告が多数なされています。
このような働きが「桑の葉には糖尿病の予防やダイエットにも効果がある」と言われる理由です。
ちなみにDNJは身近な植物で桑の葉にしか含まれていません。
高血圧を抑制する:桑の葉は高血圧抑制に働く成分がとても豊富
桑の葉にはQ3MG(クエルセチンマロニグルコシド)というフラボノイドの一種が含まれています。
この成分には悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑える作用があります。
血液中のLDLの濃度が高まると高血圧になることが知られていますが、簡単に説明してしまうと以下のような順序で発生します。
血中LDL濃度が増加すると血の巡りが悪くなってしまいます。

これがいわゆる「ドロドロ血液」というものですね。
この状態ではLDLが停滞しやすくなり、行き場のなくなったそれら物質は血管壁に入り込んで行きます。
血管壁は活性酸素が発生しやすい場所なのでそこで酸化され、「酸化型のLDL」へと変質します。

酸化LDLは体内では異物として扱われるので、免疫細胞であるマクロファージにより捕食という方法で処理されていきます。
ただしそのうち対応しきれなくなり、マクロファージは泡沫細胞という泡状の細胞に変化します。
これが血管の内側に溜まることによって血液の通り道が狭くなり、結果としてより強い圧力かかり高血圧となるのです。
高血圧は血管から柔軟性を奪いますが、これこそが動脈硬化です。この症状が進行すると最悪の場合血管が破れてしまい死に至ることもある恐ろしい疾患です。
ここでようやく桑の葉成分Q3MGの出番です。
この物質にはコレステロールの酸化を抑える働きがあるので、マクロファージによる酸化LDLの捕食とそれに伴う血管壁へのコレステロールの蓄積が防げるのです。
出典:有効成分DNJ、Q3MG
実際にマウスを使用した実験で報告が出ており、高脂肪食のみを与えたマウスは血管全体の5.9%に動脈硬化巣が出現しましたが、高脂肪食にQ3MGの抽出物を混ぜたエサを与えたマウスでは動脈効果巣の発生面積が2.8%にまで抑えられたのです。
また同様に桑の葉に含まれているGABA(ギャバ)はドーパミンなどと同じ神経伝達物質ですが、ドーパミンに興奮作用があるのとは逆にGABAにはそういった物質の分泌を抑制することにより神経を落ち着かせる作用があります。
これにより血圧が安定が望めますが、このGABAの働きも科学的に実証されています。
さらに桑の葉には高血圧防止に働くカリウムがたっぷりと含まれています。
この成分はナトリウム(塩分)とセットで体内の水分量を調整するミネラルで、余分なナトリウムを尿という形で排出する働きがあり、高血圧対策ではよく知られた物質です。
このように桑の葉には高血圧を予防する様々な栄養素がいっぺんに含まれているのです。
血圧の高さに悩まされている人にとって、桑の葉は要チェックです。
むくみを解消する:カリウムはむくみを抑える働きがある

桑の葉に含まれるカリウムはむくみを解消する作用が強いことが分かっています。これもまたナトリウム(塩分)と関係があります。
ナトリウムには水分を取り込む性質があり結果として血管が膨張しむくみを生じさせますが、カリウムはナトリウムを尿として排出するのでそのような現象を防ぐことができます。
むくみは太って見えてしまう原因となるので、非常に不愉快ですよね。
桑の葉のカリウムはそのような症状を抑えることができる頼もしい成分です。
またお酒やコーヒーなどよく飲んだり汗をかきやすい人たちはカリウム不足に陥りやすいので、特に注意が必要です。
骨や歯を強くする・イライラを解消する:桑の葉のカルシウム量はケールの約2倍!

桑の葉にはカルシウムが豊富に含まれます。
青汁素材として人気の高いケールも他の野菜と比較してカルシウムの量が突出していますが、桑の葉に含まれる量はケールの約2倍です。
カルシウムは日本人が足りない栄養素の代表格で、不足すると骨や歯が弱くなりますが、その他にも怒りっぽい精神状態に陥りやすくなるという弊害があります。
骨や歯の主成分はカルシウムなので、不足するとそれらが弱くなるというのは当たり前ですね。
実は血液中にもカルシウムは存在し、神経の興奮などを抑制する役割を果たしているのです。
イライラする人に対して「カルシウムが足りない」と言われるのはこのような理由からです。
桑の葉はカルシウムたっぷりなので結果として骨や歯が強くなり、イライラなどの気分も抑えることができるのです。
腸内環境を整える:桑の葉には食物繊維がたっぷり♪
桑の葉には食物繊維が含まれるので、腸内環境の改善に効果があります。
食物繊維には以下のように、ふたつの種類が存在します。
- 水溶性食物繊維:腸の働きを刺激して排便を促す
- 不溶性食物繊維:コレステロールや糖質の腸内での吸収を妨げる
どちらのタイプにも言えることは、整腸作用があるということです。
腸内環境の改善にはこれらふたつを一緒に摂ることが良いとされていますが、桑の葉には両方ともに含まれています。
粉末100gあたりでは水溶性食物繊維7.9g、不溶性食物繊維45.0gという量を誇ります。
これを青汁素材として一番人気がある大麦若葉と比較すると以下のようになります。
-
大麦若葉:
- 水溶性食物繊維:1.6g
- 不溶性食物繊維:39.5g
- 水溶性食物繊維:7.9g
- 不溶性食物繊維:45.0g
桑の葉:
大麦若葉成分出典:山本漢方製薬株式会社
桑の葉はその量で大麦若葉を上回っているのですね。
食物繊維は善玉菌のエサとなることでその活動を活発化させます。その過程で腸内が弱酸性となることにより腸のぜん動(伸縮)運動が引き起こされるので、結果として排便が促されるのです。
また便秘や下痢、肌荒れの原因となる悪玉菌のエサを吸着し排泄するので、それらの活動が弱まります。
腸内はこれら菌の攻防で成り立っており、体調を良くするためには善玉菌の勢力を強める必要があります。食物繊維はその手助けに打ってつけの成分なのです。

このようなこともあり食物繊維は「腸内の掃除屋」とも称されます。
お通じの悪さに悩まされている人たちにとって、桑の葉はとても頼もしい植物なのです。
まとめ

以上で説明したような桑の葉の様々な健康へのメリットは現代医学により実証されていることです。
ただし古来より漢方の材料として利用されるなど、その効果は経験的に知られていました。
桑の葉は青汁原料としては大麦若葉やケールほどの人気はありませんが、中には主要素材として扱っている製品もあるので、興味のある人は飲んでみるといいでしょう。
特にオススメするのが桑の葉のダイエット効果を狙い開発された「Happy Magic(ハッピーマジック)」です。
この青汁に関しては実際に購入をし体験レビューレポートを記しているので、興味がある人は見てみてくださいね。